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ひそやかな楽しみのために
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After roulette
その三。

今改めて思ったけど…オフェンス君が攻めってのがスゴイよね(笑)。

嫌な予感が当たりませんように、と祈る暇もなく伝えられた内容に即座には反応が出来なかった。
「え…」
頭が一瞬、それを理解することを拒んだようだったから。
両脚から力が抜けるようで、思わず片手を電話台についた。
そして、伝えられたことが頭に浸透していくと、様々な疑問が洪水を起こした。
いつ?どこで?どうして?
今ジーノはどうしてるの? どこにいるの? 病院は?
怪我が酷いの? どこを撃たれたの? どう撃たれたの?
そのどれも、喉元で凍りついて口に出来なかったけれど。
「そ…それで…?それから……?」
しぼりだした声はかすれていた。
「病院を…探しているんだが…馴染みの医師が今、街を出ていて連絡が取れねぇもんだから…だが…どこも受け入れてくれねぇ…」
めまいがしそうだ。
「撃たれて…医者が見つからないの?」
「どこの病院も、俺達と関わりたがらねぇ。どいつもこいつも、なにかと理由をつけて断りやがる…畜生!」
カインは相当気が立っているようで、語気荒く吐き捨てた。
「そんな…」
オフェンスの呟きを無視して、カインは続けた。
「それで…思い出したんだが…おめぇ、医師の資格持ってたよな?」
それを聞いた途端、オフェンスは頭から冷水を浴びせかけられたような気分になった。
…そう…だ。自分は医者だ。動揺して、今の今までそのことが頭から抜け落ちていた。
「わかった、オレが行けばいいのね?」
急に頭が冴えてきた。頭の中に、処置を行う上で必要な薬、器具、道具が飛来する。
「来てくれるか」
「当たり前じゃない…!お兄ちゃんのところに行けばいい?」
「そうだ」
「じゃ、今から準備してすぐ行くから!お兄ちゃんは…そうね、清潔なタオルとか用意してもらえる?それから、傷口を押えて止血してて。あ、止血に使った布は捨てちゃダメよ?出血量の目安になるから」
医者としての心を取り戻したオフェンスは、カインに自分が着くまでの間の処置を指示し終えると受話器を置いた。大急ぎで往診カバンを引っ張り出して中身を確認する。必要なものをそろえ、足りないものを補充し、白衣を手にした。途中、ふと義父を起こして一緒に連れて行くべきかと思ったが、結局一人で家から飛び出した。義父を起こす手間をかける時間すら惜しかったし、…愛する人を他の誰でもない自分の手で手当したかったから。
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