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ひそやかな楽しみのために
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After roulette
その二

前回書き忘れたけど…オフェ君視点のため、私がキャラクターを掴み間違えていたらごめんなさい。
言っていただければ、修正または記事削除いたします。

ことことことこと…
ふたを鳴らす鍋を見下ろしながら、オフェンスはあのときのことを思い出していた。
命をかけて結ばれた…と思った。引き金を引いた直後は、てっきり自分は死んだのだと思っていた。自分の周りから世界がすぅっと遠のいて、体が傾いで倒れていくと感じたとき、それを抱きとめてくれたのは彼だった。生きていると実感した瞬間、思わず彼を抱き締めていた。
…あのとき、オレ、調子に乗りすぎてたかなー…
音を立てる鍋の中身に視線を落としたまま、ふーっとため息を漏らす。
やっぱり、あのときキスすべきじゃなかったのかも…
今となっては後の祭りだが、そんなことを思う。
…でも、キスしていい?ってオレ聞いたよねー…あー、でも…もっと配慮してあげるべきだったのかも…?
渦を巻きだした思考は、徐々に深みにはまっていく。
友達同士であったときはもっと親しげに接してくれた。声をかければチャーオ、と笑顔を見せてくれたし、一緒に笑いながら肩を叩き合っていた。
それが今では、まるで触れることも叶わなくなってしまったようだ。
鍋の中を箸でぐるぐるとかき混ぜながら、ふとオフェンスは思いつきたくなかったことを思いついてしまった。
…告白すべきじゃなかったのかな…
やっぱりオレじゃ、ダメ…なのかな?
思いつくべきじゃなかったのに、一度思いついてしまうと忘れることができない。
箸を持った手が凍りついた。ぐるぐるぐるぐる…鍋の中身がまるで彼を呑み込もうとするように渦を巻く。その速度が緩んでも、オフェンスはそのまま立ちつくしていた…電話の音が彼の呪縛を解くまで。とても取る気にはなれなかったが、けたたましい呼び出し音が鳴り続けて彼をせっつく。
重い気分のままのろのろと電話機のそばまで歩き、受話器を取り上げる。
「もしもし?」
受話器の向こうから、低く押し殺した声が聞こえてきた。
「…オフェンスか?」
「あ!お兄ちゃん!?」
血のつながりは無いが、同じ養父ハームフルの息子ということでオフェンスが「兄」と呼んでいる人の声だ。
「もう、お兄ちゃん最近ハーちゃんに会いに来てないでしょ?それでハーちゃんがご機嫌斜めで大変なんだから…たまには会いに来てやってよー。この間なんか…」
しかし、「お兄ちゃん」ことカインは「うん」と低く呻いてから、黙りこくっている。
先ほどまでの不安を打ち消そうとするように話したてていたオフェンスは、ふと受話器の向こう側の様子が変だということに気づいた。
兄の息遣いが重苦しい。なにか嫌な予感がした。
「…お兄ちゃん…何か…あった…?」
「オフェンス」
カインが喘いだ。声がかすれている。
「ジーノが撃たれた」
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